テレビでは、1983年〜火曜サスペンス劇場などのわずかな番組についていた副音声解説。映画では1997年以降、しんゆり映画祭などの
市
民映画祭で、視覚障がい者市民の要望から、バリアフリーシアターが実現。2000年には、『グリーンマイル』の初回限定版にはじめて音声ガイドがつけられました。その後、
現在(2015年)までで、劇場公開時に音声ガイドがついた作品は約50タイトル、市販DVDに音声ガイドがついた作品もようやく約120タ
イトル。そのほとんどが邦画です。
(※現在市販・レンタルされている音声ガイド付きDVD一覧が、ブ
ログ「街角の月明かり」で参照できます。)
また、視覚障がい者が録音図書や点字図書データをダウンロードして自宅で楽しむことのできるサピエ図書館では、2013年から、シ
ネマデイジー(映画のサウンドに音声ガイドを付けてデイジー編集したもの)の貸出を開始。『ローマの休日』や『ハリーポッター』
シリーズなど、誰もが知っている名作や話題作など、新旧問わず100タイトル以上の作品が楽しめるようになりました。今後も、全国の視覚障が
い者の映画鑑賞ニーズに応えていくため、音声ガイドの制作者がとても必要になっている状況です。
音声ガイドづくり
“音声ガイド”は、目が不自由な方でも映画を一緒に楽しめるように、映画の視覚的な情報を、言葉で補うナレーションのこと。セリフの合間に タイミングよく挿入し、ラジオドラマのように映画をイメージながら楽しむことのできます。
City Lights の音声ガイド研究
City Lightsは2001年4月に「音声ガイド研究会」を発足。はじめは、テレビの解説放送やお芝居の音声ガイドを参考にしながら、映画ならではの音声ガイドについて研究し てきました。2003年からは、音声ガイド講習会や勉強会を開催し、映画のリズムやテンポ、監督の演出意図も考慮し、視覚障がい者モニターの 意見を参考にしながら、見えない人にはもちろん、見える人にも「聴き心地がよく、わかりやすい」鑑賞のじゃまにならない、音声ガイドづくりを 目指してきました。
音声ガイドの台本づくり、ナレーション、字幕朗読
音声ガイドは、セリフの透き間に、
「夕暮れ時。寅さんがトランクを片手に、土手の上を歩いていく。」
といった視覚的な情報を補うナレーションです。
時と場所、人物の動き、しぐさ、表情、情景などを見たまま、客観的に説明します。映像を見たまま100%は伝えられないので 、そのシーン の最も大事な、視覚情報を取捨選択しながら、台本を作っていきます。
できあがった台本は、スキル提供いただけるナレーターさんや、朗読・音訳ボランティアの方々に読んでいただき、パソコンで録音・編集して
仕上げます。吹替版のない外国映画の場合は、さらに日本語字幕朗読も行います。配役を割り振り、声優さんのようにスタジオにて収録を行いま
す。ナ レーターや声優ボランティアにご興味のある方は、是非一度、事務所へおこしになり、声をお聴かせください。
音声ガイドを学ぶ講座のご案内
セリフの合間や場面転換などの短い時間制限の中で、映像から何を選びとり、 どのような言葉で解説をするか?を考える音声ガイドの台本づくりは、とても悩ましくもありますが、映画の見方と言葉のコミュニケーションを学ぶ、よ い機会を与えてくれます。
視覚障がい者のモニターさんと一緒に、イメージする映像をチェックしながら、音楽や音、声色から脹らむ想像力を知り、複数の人と映画を じっくり観ることで、自分が「見ているようで、見ていなかった」映画の側面に気づくことができます。映画を分析しながら観ていくので、映画好 きな方には、とてもやりがいのある活動です。興味をもたれた方は是非、講座にご参加ください。
◎音声ガイドを学ぶ講座のご案内◎
CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ) ワークショップのページに詳細のご案内があります。
http://chupki.jpn.org/workshops